本と植物と日常

本を読んだり、訳したり、植物に水をやったりの日々…。

2021-01-01から1年間の記事一覧

記述の古さを感じさせない新書版『戊辰戦争』

佐々木克『戊辰戦争 敗者の明治維新』(中公新書、1977年)を読んだ。今年私が読んだ戊辰戦争関係の本のなかでは一番古く、その後のさまざまな本の記述の原点の一つになっていると考えられる本だ。執筆年代が古く、しかも新書なので盛り込める内容が量的に限定…

おもしろくておもしろくなかった佐藤賢一の『遺訓』

『遺訓』(佐藤賢一、新潮文庫、2021年)を読み終えた。同じ著者の『新徴組』の続編といっていい作品だ。『新徴組』が幕末から明治維新にかけての庄内藩の動きを描いているのに対し、『遺訓』は明治6年から明治11年にかけての、庄内と薩摩の動きを描く。 庄内…

ポーランド関係の翻訳を進め、地図をつくる

11月から18世紀ポーランドの政治状況について書いた作品の翻訳を始めたのだが、今日は朝からその翻訳を進めた。小品でそんなに分量はないので(おそらく原稿用紙40枚~50枚程度)、なんとか1月末までには訳了したい。現在の進行状況は約20%程度といったところ…

佐藤賢一『新徴組』を読む

『新徴組』(佐藤賢一、新潮社、2010年)を読み終えた。幕末から明治にかけての江戸と東北を舞台にした歴史小説だ。 著者・佐藤賢一の庄内に対する思い入れが感じられる『新徴組』 はじめに新徴組について簡単に説明しておくと、幕末の江戸で、市中警備のため…

鎌倉で写真展を観る

昨日(11月23日)から、神奈川県立近代美術館鎌倉別館で写真展が始まったので、夕刻、同別館を訪問して作品を鑑賞してきた。 部分と全体が違うイメージで構成された不思議な写真の展覧会 今回の展覧会の写真家は、眼の前の対象をそのまま撮影するのではなく、…

『蓋棺 庄内藩は一度も官軍に負けなかった』を読む

『秋田・庄内 戊辰戦争』(郡 義武)に続いて、庄内史シリーズの一環として『蓋棺 庄内藩は一度も官軍に負けなかった』(茶屋二郎、ボイジャー、2014年)を読んだ。戊辰戦争の際に庄内藩の重役として軍事掛を務め、戦後の明治初期には庄内地方復興と対外的な折衝…

今後の年金を相談

本日は、寓居の近くにある街角の年金相談センターに行き、今後の年金の相談をしてきた。というのも、現在の私のアルバイトが来年3月で打ち切りなので、それ以降の生活を考えると、受給できる金額を早目に確認しておいた方がいいとおもったからだ。 近くの相…

がっかりした『マイスタージンガー』公演

昨日は新国立劇場でのワーグナー『ニュルンベルクのマイスタージンガー』新演出公演の初日だったので、楽しみにして行ってきたが、失望した。 この公演、そもそも昨年新国立劇場と東京文化会館の初の共同企画として制作されたもので、去年の両公演はコロナで…

『秋田・庄内 戊辰戦争』を読む

『秋田・庄内 戊辰戦争』(郡 義武、新人物往来社、2001年)を読み終えた。東北地方と越後の諸藩が奥羽越列藩同盟を結成して官軍と戦った戊辰戦争(1868年<慶応四年/明治元年>)の際の庄内藩の戦闘をたどった実録作品だ。 戊辰戦争で、庄内軍は北斗七星の旗のも…

江戸時代のロシア漂流記『おろしあ国酔夢譚』

DVDで映画『おろしや国酔夢譚』(佐藤純彌監督、1992年)を観た。1782年(天明二年)に神昌丸という船で伊勢から江戸に米を輸送する途中、嵐にあってアリューシャン列島に漂着し、苦労の末1792年(寛政四年)にロシア船で帰国した船乗り大黒屋光太夫ら一行の異国体…

次の仕事のことを考えると、もらった柿も複雑な味

今日、私のアルバイト先の同僚女性から柿をもらった。私の故郷・庄内地方の特産・庄内柿だ。実はこの同僚(アルバイトの先輩でもあるのだが)は、休憩時間に話をしたら酒田市出身と分かり、それ以来、同じ庄内地方出身ということで仲良くしている(私は隣の鶴岡…

『竜は動かず 奥羽越列藩同盟顛末』を読む

『奥羽越列藩同盟 東日本政府樹立の夢』(星 亮一)を受けて、この本のなかに出てきた仙台藩士・玉虫左太夫を主人公とする歴史小説『竜は動かず 奥羽越列藩同盟顛末』(上田秀人、講談社文庫、2019年)を読んでみた。 幕末の仙台藩士が主人公の『竜は動かず』 玉…

『奥羽越列藩同盟』(中公新書)を読む

最近、幕末の変革に関する史書をいろいろ読んでいるが、その一環で『奥羽越列藩同盟 東日本政府樹立の夢』(星亮一、1995年、中公新書)を読んでみた。実は私も東北人のはしくれなので(山形県鶴岡市<庄内地方>出身)、戊辰戦争の際に結成された奥羽越列藩同盟の…

『開国への道』を読む

『開国と幕末の動乱』(「日本の時代史」20、井上勲編、2004年、吉川弘文館)と『開国と幕末変革』(「日本の歴史」18、井上勝生、2002年、講談社)の幕末の歴史についてのアプローチがあまりにも違うので、バランスをとるために、もう1冊『開国への道』(「日本…

『開国と幕末の動乱』を読む

『開国と幕末の動乱』(「日本の時代史」20、井上勲編、2004年、吉川弘文館)に不満が多かったので、他の歴史家は同じ時代をどのように論じているのかと『開国と幕末変革』(「日本の歴史」18、井上勝生、2002年、講談社)を読んでみた。対象としている時代は19…

ラケナリアの芽がまた少し伸びる

ラケナリア(Lachenalia、キジカクシ科)の芽が伸び、少しずつ個性がはっきりしてきた。 ご紹介しているのは、写真の上段左から①multifolia(ムルティフォリア)、②namaquensis(ナマクエンシス)、③viridiflora(ヴィリディフローラ)、下段左から④splendida(スプレ…

日本の時代史~『開国と幕末の動乱』を読む

自分の翻訳の見直しがとりあえず一段落したので、日本史関係の読書を再開した。まずは、「日本の時代史」シリーズから『開国と幕末の動乱』(「日本の時代史」20、井上勲編、2004年、吉川弘文館)を読んだ。この巻は、ペリー来航(1853年<嘉永6年>)から明治維新…

自分の翻訳の見直しが終わる

9月の初めから取り組んでいた自分の翻訳原稿の見直しが、本日とりあえず終了した。途中でプリンター故障という予期せぬトラブルもあったが、プリンターがないと何もできないので、貯金をおろして急遽プリンターを買い換えた。この作品は原稿用紙約650枚の大…

6種類のラケナリアが早くも発芽

台風一過のヴェランダを点検したら、ラケナリア(Lachenalia)の球根が発芽していた。 ラケナリアは南アフリカ原産の植物で、キジカクシ科に分類される。草丈は20cm~30cmくらいなので、小さい鉢でコンパクトに栽培できる。なじみの園芸植物でいうと、ヒアシン…

突然プリンターが故障!?

自分が校正した原稿を印刷しようとおもったら、突然プリンターが動かなくなってしまった。正確には、昨日の晩電源が切れなくなり、やむをえずそのまま放っておいたらしばらくして電源は切れたのだが、今度はどうやっても電源が入らなくなってしまった。コン…

美男がテーマの展覧会を鑑賞

浦和にあるS県立近代美術館で『美男におわす』という展覧会がはじまり、その初日に展覧会を鑑賞してきた。 「美男」をテーマにしたS県立近代美術館の展覧会 この展覧会、これまで美女をテーマとする展覧会はいろいろ開催されているのに美男をテーマとする展…

虚辞のneの見落としに気づく

現在私が自分の翻訳を見直している作品は全16章で構成されており、今見直しているのはその第13章目。教育について論じている章だ。教育の問題について、たとえば同じ時代にルソーが『エミール』(1762年刊)を書いているが、ルソーの考えは学校での公教育を否…

自分の翻訳を再度校正

キケロの作品(『国家について』『法律について』『トゥスクルム荘対談集』)を読んだのをきっかけに、それを引用している自分の翻訳の見直しを始めた。私が翻訳しているのは、18世紀フランスの政治思想家の作品で、当時の政治や法律のあり方を論じており、そ…

古本屋を呼んで、本を整理する

なじみの古本屋さんを呼んで、読みそうにない本を引き取ってもらった 川崎市の現住所に転居してまもなく1年経つが、本がなかなか片づかない。思い切って、もう読みそうにない本を整理し、古本屋さんを呼んで引き取ってもらった。 さて、この古本屋さんを知っ…

友人からの古い年賀状

今日は一日中DMの宛名書き。埼玉の美術館から9月23日にはじまる展覧会の宣伝を依頼されており、バンフや招待券をたくさん預かっているので、私の知人のなかから関心がありそうな人や埼玉に住んでいる人を抜き出して、せっせとDMを書いた。さて、DMを書いてい…

キルタンサス・モンタヌスが開花

8月末、ヒガンバナ科の植物キルタンサス・モンタヌス(Cyrtanthus montamus)が開花した。ヒガンバナ科植物に一般的な集合花で、寓居では、一本の花茎に4輪の花をつけている。花色は濃いオレンジ色。草丈は20cmほど。葉はやや肉厚で細長い。 キルタンサスは南…

『ユリイカ』からSさん追悼の臨時増刊号刊行

『ユリイカ』から臨時増刊号刊行 今年5月15日に亡くなった孤高の歌人・小説家・評論家、Sさんを追悼して、このほど『ユリイカ』臨時増刊号が刊行された。未発表作品、インタビュー、対談、オマージュなどで構成され、Sさんの多方面にわたる文芸活動の足跡が…

ベルクの歌劇『ルル』に震撼

8月28日、東京二期会公演で、アルバン・ベルク(1885年~1935年)のオペラ『ルル』を鑑賞し、オペラ表現の根源性を考え震撼させられた(於:新宿文化センター大ホール)。 『ルル』はフランク・ヴェーデキント(1864年~1918年)の戯曲『地霊』と『パンドラの箱』に…

友達が立ち去る夢

明け方、去年7月に亡くなったY君の夢をみた。 たわいもないことをいろいろ話したようにおもうが、夢なので細かいところまでは思いだせない。最後に彼が「もう逝くね」と言って立ち去っていくところで眼が覚めた。Y君が亡くなって1年以上が過ぎ、いつまでも悲…

日本の時代史~『近代の胎動』を読む

『享保改革と社会変容』(大石学編)に続いて、『近代の胎動』』(「日本の時代史」17、藤田覚編、2003年、吉川弘文館)を読んだ。この巻は、松平定信の寛政改革、水野忠邦の天保改革を中心に、18世紀末からペリー来航直前までの江戸時代後期のさまざまな社会的…