『鐘』に続いてアイリス・マードックの小説『網のなか(Under the Net)』(1954年、日本語訳・鈴木寧、白水社、1965年)を読んだ。 『不思議の国のアリス』を連想させる『網のなか』 『網のなか』は彼女の第一作目の小説だが、書き方、雰囲気は『鐘』とはまった…
マードックの小説『鐘』(1958年、日本語訳・丸谷才一、集英社文庫、1977年)を読んだ。 著者のアイリス・マードック(1919年~99年)は、20世紀を代表するイギリスの女性小説家、哲学者。先日読んだ『実存主義者のカフェにて』(サラ・ベイクウェル、2016年、日…
21日は、フランス・ワイン、ボージョレ・ヌーヴォーの解禁日。一人で飲むのもつまらないので、またまたアルバイト先の同僚を誘って、新宿のワインバー<マルゴグランデ>に、解禁されたばかりの新酒を飲みに行った。今年のマルゴグランデは5種類のボーショレ・…
19日、SOMPO美術館(新宿)で開催中の『カナレットとヴェネツィアの輝き』展を鑑賞した。ジョヴァンニ・カナレット(1697年~1768年)は、ヴェドゥータ(風景画)の巨匠と呼ばれる画家で、18世紀ヴェネツィアの華やかな光景をリアルに描いている。日本で初の大規模…
昨日はアルバイト帰りにビックカメラに立寄ってプリンター用のプリントヘッドを購入した(取り寄せで時間がかかるかと思っていたのだが、店頭在庫があって、購入はスムーズだった)。ついでに、そばの売場で安い囲碁ソフトを見つけて購入。プリントヘッドより…
数年間使っていたキヤノンのプリンターの調子が良くなく、半年ほど前からカラー印刷ができない状態だったので、このままだと年末に困りそうだと、思いきってプリンターを買い替えた。私は翻訳の校正などで大量の印刷をするので、プリンターが壊れるのはある…
1572年8月にフランスで起こったプロテスタントの大量殺害事件<聖バルテルミーの虐殺>を詳解した歴史書、『聖バルテルミーの大虐殺』(フィリップ・エルランジェ著、1960年、日本版編訳・磯見辰典、白水社、1985年)を読んだ。 複雑な16世紀フランス宮廷の動き…
13日の夕方、アルバイト先の同僚8人で新宿のピッツエリア<Claudia 2>に行き、ピザ、パスタなど軽いイタリアンをつまみ、ピエモンテのワイン<バローロ>を1本空けて、わいわいとにぎやかに食事会をした。 新宿のピッツェリアで憂さ晴らし この会は、私のアルバイト先に最</claudia>…
吉田秋生のコミック『詩歌川(うたがわ)百景』(小学館)の最新第4巻が出たのでさっそく読んでみた。 人間の心のなかの問題に深く踏み込んだ『詩歌川百景』 この作品は、山形県の山村にある架空の温泉街・河鹿沢温泉を舞台に、さまざまな住民たちの日々の生活や…
原種水仙の一種ナルキッソス・セロティヌス(Narcissus serotinus)が開花した。 ナルキッソス・セロティヌスが開花。 スペイン、ポルトガル、モロッコなどに自生している品種だ。草丈(花茎の長さ)は約20cmで、花の直系は約3cm~3.5cm。白い花弁は大きく目立つ…
昨日、2通の葉書が届いた。 届いたばかりの2通の葉書 1通は、4年前に亡くなった若い友人Mくんのご両親からの葉書で、親族が亡くなったので今年は年賀状を遠慮するという内容のもの。亡くなった親族の方どころか、私はMくんのご両親にもまだお会いしたことが…
今年は本の校正と自治会の仕事に時間をとられることが多く、植物の手入れがほとんどできなかったのだが、先日ようやく春に咲く植物のケアが終わった。 春に咲く植物が元気に芽を伸ばしている ケアといっても、私が育てているのは大半が鉢植えの球根植物なの…
南アフリカに自生するヒガンバナ科植物キルタンサス・スピラリス(Cyrtanthus spiralis)が元気に育っている。 キルタンサス・スピラリスが分球した この植物の自生地は、ポート・エリザベスに近い東南ケープ。インド洋を南下する暖流モザンビーク海流の影響を…
南アフリカに自生するヒガンバナ科植物ゲチリス・リネアリス(Gethyllis linearis)の芽が伸びてきた。球根は、パンクラチウム・シッケンベルゲリと同時に入手し、同じように植えつけたが、発芽はパンクラチウムより遅く、10月はじめに発芽した。 葉が渦巻くの…
本日、ヒガンバナ科植物パンクラティウム・シッケンベルゲリ(Pancratium sickenbergeri)の種を植えた。 パンクラティウム・シッケンベルゲリの種を植えた パンクラティウム属は、大半が地中海沿岸地方に自生している球根植物で、水仙に近縁。このシッケンベ…
フランス革命の十数年前に出版された『法律制定について』の翻訳校正がようやく一段落した。内容は、タイトルのとおり法律とはどのようなものであるべきかを論じた作品だが、あちらこちらで市民の平等の重要性を指摘しているあたりに革命が近いという雰囲気…
今日は女優Eさんの命日だ。2018年に亡くなったので、丸6年経つ。 Eさんとは、はじめ共通の友人をとおして知り合ったのだが、ただTVや映画の画面で観ていただけでなく、食事、買い物、コンサート鑑賞など、日常でもさまざまな付き合いがあったので、ほんとう…
Amazonに注文していた『L’Aigle blanc(白い鷲)』展の図録がとどいた。この展覧会は、2011年から12年にかけて、フランス・コンピエーニュの王宮美術館とポーランド・ワルシャワの王宮美術館で開催されたもので、テーマは、ポーランド最後の国王スタニスワフ・…
マルセル・プルーストの長篇小説『失われた時を求めて』~第四篇「ソドムとゴモラ」を読み終えた(1921年~22年刊、邦訳:鈴木道彦氏訳、集英社文庫)。 「ソドムとゴモラ」 物語の最初の部分は、第三篇「ゲルマントの方」の続きで、パリのゲルマント大公婦人の…
今日は新百合ヶ丘のイオンシネマで、公開されたばかりのイギリス映画『2度目のはなればなれ』(オリヴァー・パーカー監督)を鑑賞した。名優マイケル・ケイン(撮影時89歳)とグレンダ・ジャクソン(撮影時86歳)が老夫婦役で主演している作品だ。マイケル・ケイン…
先日、新宿紀伊國屋書店の哲学書関係のコーナーで『実存主義者のカフェにて 自由と存在とアプリコットカクテルを』(サラ・ベイクウェル、2016年、向井和美訳、紀伊國屋書店、2024年) という本を見つけたので、タイトルに惹かれてさっそく購入して読んでみた…
8月30日から新宿眼科画廊で男性を題材にした作品を描いている6人の作家によるグループ展『益荒男戯画』が始まった。 新宿で男性を描いたグループ展が始まった 出展者は、TORAJIRO、成瀬ノンノウ、shinji horimura、亀井徹、六原龍、SIN5の各氏。共通項は男性…
イタリアの歴史家マリア・ベロンチの『ミラノ ヴィスコンティ家の物語』(1956年、大條成昭訳、新書館、1998年)を読んだ。1261年~1447年の約200年間に、12代にわたってミラノを支配したヴィスコンティ家の人々の生い立ち、性格や権力争いを紹介した年代記だ。…
19世紀イタリアを代表する作家アレッサンドロ・マンゾーニの『いいなづけ』(平川祐弘氏訳、河出文庫、2006年)を読んだ。スペインに支配されていた17世紀のミラノ公国(当翻訳ではミラーノと表記されている)の田舎町レッコに住む若い男女が結婚し家庭を築くま…
堀田誠三氏のほ(名古屋大学出版会、1996年)を部分的に再読した。今回読んだのは本書の後半で、ピエトロ・ヴェッリ(1728年~97年)、チェーザレ・ベッカリーア(1738年~94年)の思想を紹介した第二部「ミラノにおける啓蒙思想の展開」だ。 フランス思想を受けい…
ミシェル・フーコーの代表作の一つ『監獄の誕生 監視と処罰』(1975年、田村淑氏訳、新潮社、1977年、以下『監視と処罰』と略記)を読んだ。『監視と処罰』を読むのは今回が初めてかとおもっていたら、巻末に1992年読了と自分の書き込みがあった。なので今回が…
『警察の誕生』(菊池 良生、集英社新書、2010年)を読んだ。日本とヨーロッパの<警察>の歴史をコンパクトにまとめた本だ。 はじめに用語について説明しておくと、日本語の<警察(いわゆるポリス)>は明治以降に生まれた概念(行政組織)で、菊池氏が書いていると…
堀田誠三氏の『ベッカリーアとイタリア啓蒙』(名古屋大学出版会、1996年)を読んだ。著者は、日本におけるイタリア啓蒙思想研究の第一人者。本書の叙述の中心はタイトルにもなっているチェーザレ・ベッカリーア(1738年~94年)の思想だが、他にルドヴィコ・ア…
『ヴェネツィアの歴史 共和国の残照』(永井三明、刀水書房、2004年)を読んだ。タイトルのとおり、697年の誕生から1797年の滅亡まで、ヴェネツィア共和国の11世紀の歴史を描いた作品だ。 ヴェネツィアの社会相が詳細に描かれている とはいえ、この作品は、時…
『大黒屋光太夫 帝政ロシア漂流の物語』(山下恒夫、岩波新書、2004年)を読んだ。天明二年(1782年)に駿河湾沖で遭難してアリューシャン列島のアムチトカ島に流され、さまざまな苦難の末に寛政四年(1792年)日本に帰還した伊勢の船頭・大黒屋光太夫(宝暦元年<17…