本と植物と日常

本を読んだり、訳したり、植物に水をやったりの日々…。

鎌倉で写真展を観る

昨日(11月23日)から、神奈川県立近代美術館鎌倉別館で写真展が始まったので、夕刻、同別館を訪問して作品を鑑賞してきた。

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部分と全体が違うイメージで構成された不思議な写真の展覧会

今回の展覧会の写真家は、眼の前の対象をそのまま撮影するのではなく、中心になる対象を、それとはまったく無関係な魚や野菜などと組み合わせてデフォルメし、そのデフォルメされた対象を撮影するというマニエリスムの画家アルチンボルドを思わせる作風で知られている。今回も、しかめっ面をした文学者に魚でできた帽子をかぶせた肖像写真などユニークな作品が展示された。閉館後に学芸員と少し話をしたが、「自分からすると、この写真家の作品はシュルレアリスムのアーチスト・ベルメールと共通するところがあると思う」という見解をきいて、なるほどとおもった。簡単に言うと、それは、分節化された無意味なパーツを組み合わせて、全体として新たな意味を現出させるということだ。

また閉館後、場所を移動しての歓談のなかで、詩人のTさんから、先日刊行された雑誌『ユリイカ』の特集号のなかで私が書いた本を自分も実際に読んでみたいので、手元にあったらコピーを送って欲しいという思いがけない依頼があり、私の記事をきちんと読んでくれているということがうれしかった。

この展覧会は来年の1月30日(日)まで開催。

http://www.moma.pref.kanagawa.jp/exhibition/2021-kon-michiko