本と植物と日常

本を読んだり、訳したり、植物に水をやったりの日々…。

2024-01-01から1年間の記事一覧

『失われた時を求めて』~「花咲く乙女たちのかげに」を読む

プルースト『失われた時を求めて』の第二篇「花咲く乙女たちのかげに」を読み終えた。私が読んだのは、高遠弘美氏訳の光文社文庫版。 「花咲く乙女たちのかげに」 第二篇は二部構成で、第一部が「スワン夫人のまわりで」、第二部が「土地の名・土地」という…

プルーストの映画化『スワンの恋』ーー主人公たちの疎外感を浮き彫りに

今日はDVDでフォルカー・シュレンドルフ監督の仏独合作映画『スワンの恋』(1984年)を鑑賞した。マルセル・プルーストの大長篇小説『失われた時を求めて』の第一篇「スワン家のほうへ」の第二部「スワンの恋」の映画化作品だ。 主人公たちの疎外感を浮き彫り…

『失われた時を求めて』~「スワン家のほうへ」を読む

ドライなミシェル・ウエルベック作品『闘争領域の拡大』『素粒子』を読んだ反動で、急にウェットな文学の極致ともいえるマルセル・プルースト(1871年~1922年)の『失われた時を求めて』が読みたくなった。20世紀文学の最高峰の一つとされながら、あまりの長…

現代の精神的・性的病根を抉り出したウエルベックの『素粒子』

フランスの作家ミシェル・ウエルベック(1958年生)の小説『素粒子』(1998年、野崎歓訳、ちくま文庫<2006年>)は、異なった環境で互いに面識もなく育った異父兄弟を中心にした物語。恋愛や性の面で<闘争領域>が拡大し、それによって、結果的に恋愛や性からはじ…

性の敗残者を描いたウエルベックの『闘争領域の拡大』

フランスの現代作家ミシェル・ウエルベック(1958年生)の小説『闘争領域の拡大』(1994年、中村佳子訳、河出文庫<2018年>)と『素粒子』(1998年、野崎歓訳、ちくま文庫<2006年>)を続けて読んだ。ウエルベックは、次々と刊行される作品が、フランスのみならず、…

自治会の仕事を引き受ける

先日、近くの小学校で自治会の引継ぎのための打ち合わせがあり、隣家の方から、「順番なので1年間自治会の役員を務めて欲しい」と言われて出かけところ、自治会の事務局を引き受けさせられた。 近隣は閑静な住宅街 現住所に引っ越してから約3年半経つが、こ…

翻訳の二次校正が終わる

『精神について』の二次校正が本日ようやく終わった。最後に残ったのは、自分が書いた<訳者からのメッセージ>の校正だったが、知人からもらったアドバイスを反映させて、自分なりに分かりやすさを意識した。 翻訳の二次校正がようやく終わった また、すでに…

喉の炎症で病院に行く

金沢から戻ってからずっと喉が痛くて、一時はほとんど声が出せないほどだった。熱はほとんどないのだが、空咳がひどくて、けっこう消耗する。このためアルバイトを数日休んだほどだ。ここ数日、症状はだいぶ軽くなってきてはいるものの、いつまでたっても軽…

翻訳の二次校正終了にメド

今日も朝から『精神について』の二次校正。 二次校正用のゲラが届いたのが2月11日。前にも書いたように、出版社からは、「5月に刊行したいので、1カ月ほどで二次校正を終えて欲しい」と言われている。しかし『精神について』のゲラは約750頁あり、それを細か…

翻訳の二次校正が遅れ気味

今日は朝から『精神について』の二次校正。私の場合、校正は朝が一番はかどる。とはいえ、金沢訪問などのために作業はだいぶ遅れている。 今日もせっせと翻訳の校正 出版社からは1カ月くらいで二次校正を終えて欲しいと言われているのだが、細かい直しが多く…

駆け足の金沢訪問⑤ーー天気に翻弄されながら、無事に撮影終了

兼六園の向かいにある国立工芸館に着いたのは午後1時。大和百貨店を出たときはまだ曇り空だったのだが、工芸館前に着いてタクシーを降りたとたんに、雨の混じった大粒の霰が降ってきた。 工芸館に着いたら、突然霰が降ってきた 濡れては大変とあわてて工芸館…

駆け足の金沢訪問④ーーせせらぎ通りを散策し、大和で昼食

金沢城公園を一回りした後、方向転換して香林坊の大通りを横切ると、犀川の水を引いた鞍月用水にそった<せせらぎ通り>に出た。 犀川の水を引いた用水路に沿った<せせらぎ通り> 鞍月用水の対岸にはかわいらしい小さな店がたくさんあり、通りと店のあいだにた…

駆け足の金沢訪問③ーー金沢城公園を観てまわる

翌8日は早朝に目が覚めた。この日の金沢は、曇りで肌寒い。 起き出してまず気になったのは『精神について』の校正。しかし環境がかわったせいか、疲労のせいか、あまり集中できなかったので、やむなく、金沢市内を見物することにした。 独特の形をした尾山神…

駆け足の金沢訪問②ーー和食店「伝助」に大満足

金沢に着くと、ホテルでの荷ほどきもほどほどにして、さっそく、ネットで見つけて「金沢で食事をするならこの店っきない」と予約していた和食の店<緑酒 伝助>に向かった。 伝助は、街中の一軒家をつかったいわゆる<隠れ家レストラン>で、若いご主人・濵﨑さ…

駆け足の金沢訪問①ーー香林坊のホテルに泊まる

金沢市にある国立工芸館で収蔵作品の撮影があり、それに立ち会うために金沢を訪問した。 駆け足で金沢を訪問 せっかくの金沢行なので、ほんとうはのんびりしたかったのだが、『精神について』の翻訳校正がまだ半分も進んでいないので、それが気になり、今回…

レース系ハオルチアの花芽が出る

今朝、ふと窓辺を見たら、2月12日に植えつけたレース系ハオルチアのうち1種(左手前)から花芽が伸びていた。 窓辺のハオルチアたち、右奥はハオルチアと近縁のガステリア<臥牛> 花芽が伸びていたのはハオルチア・ボルシイ(Haworthia borsii)。 花芽が出始めた…

囲碁天才棋士のあこがれの女優

本日から鈴木弘之さんの新作写真展『山』が始まり、それを拝見するために、夕方、会場となっている南青山のKシノジュンコさんのブティックに行ってきた。 作品を拝見してから、鈴木さんの配偶者であるファッション・デザイナーの Kシノさんにご挨拶。きけばK…

地元のなじみの魚屋、肉屋、八百屋が閉店!?

新百〇ヶ丘で私がいつも買い物をしていたビルの魚屋、肉屋、八百屋が、テナント入れ替えのため今日でいっせいに閉店した。 なじみの店が閉店でショック! アルバイトが終わって6時過ぎに店に着いたときは、閉店セールを目指してすでに大勢の客がおしかけてお…

スミレに似たスパラクシスが開花

南アフリカに自生しているアヤメ科球根植物スパラクシス・メテレルカンピアエ(Sparaxis metelerkampiae)が開花した。自生地は、北ケープ、西ケープなど。 スパラクシスが開花 草丈は約20cmで、花のサイズは約3cm。花弁は6枚で、花色は紫、形は左右対称。花弁…

原種グラジオラス<ヒアリヌス>が開花。

南アフリカに自生している原種グラジオラスの一種グラディオルス・ヒアリヌス(Gladiolus hyalinus)が数日前から咲き出した。 野生蘭に似た雰囲気のグラディオルス・ヒアリヌス 花弁の長さは約3cmで、花の広がりは約4cm。花は左右対称だが、花弁の形(色)は、…

アサリと菜花のパスタをつくる

昨日、アルバイトの帰りに近所のスーパーを覗いたら、アサリと菜花が安かったので、今日はそのアサリと菜花をつかったパスタの朝食をつくった。 メインの具材はアサリと菜花 まずは菜花をさっと下茹で。 まずは菜花をさっと下茹で 次に玉ネギとシメジを炒め…

紫色の小さなヘスペランサが開花

南アフリカに自生している小さなアヤメ科球根植物ヘスペランサ・オリガンサ(Hesperantha oligantha、学名をラテン語風に読めば<ヘスペランタ・オリガンタ>)が数日前から咲き出した。 ヘスペランサの一番花 2019年に種を播き、去年に続いての開花。6枚の花弁…

甘い香りのバビアナが開花

南アフリカに自生しているアヤメ科球根植物バビアナのなかで、室内で育てているバビアナ・セダルベルゲンシス(Babiana cedarbergensis)がいち早く咲き出した。 優雅なバビアナ・セダルベルゲンシス 球根が増えたので去年の秋に2鉢に分けたが、どちらも薄紫色…

レース系のハオルチアを植え付け

私は南アフリカの少雨地帯に自生している多肉植物ハオルチア(ハオルシア)を数種類育てているのだが、昨日、新顔2株が仲間入り。 わが家では新顔のレース系ハオルチア 昨日やってきたのは、葉の縁にとげのような細かい鋸歯がはえているレース系グループの2株…

翻訳の二次校正用のゲラが届く

今日、出版社から翻訳中の『精神について』の二次校正用の分厚いゲラが届いた。また共訳者から、参考文献についての問い合わせのメールも届いた。 『精神について』の訳稿は約750頁あるが、出版社からは1カ月程度で点検して欲しいという手紙が添えられていた…

休業前のスーパーでワインや保存食を買い込む

近所のスーパーが改装のため2週間休業するということで、乾物類を中心に在庫品の大セールを始めた。私も、アルバイト帰りにワインやレトルト食品、調味料など保存のきくものを、持てるだけ買い込んできた。 休業前のスーパーでワインや保存食を買い込んだ 白…

屋内の原種グラジオラスが咲き始めた

明日以降、関東もだいぶ寒くなりそうだが、二月に入ったということで、屋内の窓辺で栽培している南アフリカ原産の植物が次々に咲き始めた。 窓辺の植物たち 今日は、開花した原種グラジオラス2種をまとめて紹介。 ひょろひょろしたグラディオルス・グラキリ…

18世紀の冒険小説『セトス』を読む

今回は、いつもと少し趣向を変えて、18世紀フランスの冒険小説『セトス』に挑戦してみた。 この小説は、ジャン・テラソン師(1670年~1750年)の作品で、古代エジプトおよびアフリカ大陸を舞台にしている。ギリシア語で書かれた古代エジプトの歴史物語が見つか…

ダーントン『猫の大虐殺』を読む

ロバート・ダーントンの『猫の大虐殺』(1984年、海保眞夫、鷲見洋一訳、岩波現代文庫<岩波書店>、2007年)を読んだ。本書は最初、岩波書店から単行本として1986年に刊行されたが、私が読んだ岩波現代文庫版は、そのなかから第3章、第5章を省略して編集した簡…

残念だった藤原歌劇団の『ファウスト』

昨日は東京文化会館で藤原歌劇団によるグノーの歌劇『ファウスト』の公演を聴いた。オケは東京フィルハーモニー交響楽団、指揮は阿部加奈子。グノーの歌劇を実演で聴くのは、私にとって今回が初めて。手持ちの3種類のCD(クリュイタンス指揮、ボニング指揮、…