台風一過のヴェランダを点検したら、ラケナリア(Lachenalia)の球根が発芽していた。
ラケナリアは南アフリカ原産の植物で、キジカクシ科に分類される。草丈は20cm~30cmくらいなので、小さい鉢でコンパクトに栽培できる。なじみの園芸植物でいうと、ヒアシンスやムスカリに近縁で、葉の間から花茎が伸び、ブドウを逆にしたような房状の集合花を咲かせる。ヒアシンスとムスカリはヨーロッパから小アジア、中東にかけて自生しているが、ラケナリアは南アフリカの大西洋岸地域からナミビアにかけて120種ほどが自生。これらの地域は、いずれも夏に雨がほとんど降らず秋から冬・春にかけて雨が降るので、秋に芽を出して、大半は春に開花する。
ラケナリアは南アフリカの他の球根植物と比べると発芽がやや早く、かつ寒さにやや弱いので、寓居では、他の球根植物に先駆けて9月中旬に植え替えして水やりを開始した。球根自体は、ムスカリより小さい。
今のところ、発芽しているのは、写真の上段左から①multifolia(ムルティフォリア)、②namaquensis(ナマクエンシス)、③viridiflora(ヴィリディフローラ)、下段左から④splendida(スプレンディダ)、➄purpureo-caerulea(プルプレオ・カエルレア)、⑥pusilla(プシラ)の6種。
種名の由来(意味)は、①葉が多い、②ナマクアランド(地名)の、③花色が緑、④輝かしい、➄青ずんだ紫の、⑥小さい。またラケナリアという属名はスイスの植物学者Werner de Lachenal(ヴァーナー・ド・ラシュナル、1736年~1800年)にちなむ。ラシュナル氏はバーゼル生まれで、名字はフランス系、名前はドイツ系だ。
6種のラケナリアの葉の形状は、①②④は細長く、③➄⑥はやや幅広い。また①の葉はやや赤い。③と⑥は、他のラケナリアよりも早く、晩秋に開花する。
入手経路はさまざまだが、①②➄は南アフリカから種を取り寄せ、2018年の秋に播いたもので、同時に播いたが結局芽が出ずに終わってしまった植物もあるので、私からすると、苦労した分だけ感慨が深い。