今日校正した箇所のなかでは、たとえば<bons mots>にどんな訳語をあてたらいいのかちょっと悩んだ。どんな文脈でこの言葉が出てくるかというと、「悪意に対して惜しげもなく向けられる礼賛と、悪意がもたらす機知の評判に満足して、彼らは、自分たちの善良さを自分で十分評価することができない。彼らは、自分たちの<bons mots (善良な言葉?)>によって自分が恐ろしい者になることを望んでいる」という文脈で、ここでの<善良な言葉>は、実際には<善良じゃない言葉>のことだ。この箇所は、これまで何度も読んではいるのだが、前後の別のところが気になって、<善良な言葉>でいいだろうぐらいに考えて、読み過ごしていたのだ。