本と植物と日常

本を読んだり、訳したり、植物に水をやったりの日々…。

読書日記(コミック)

人物描写の細やかさに圧倒される吉田秋生の『詩歌川百景』

吉田秋生のコミック『詩歌川(うたがわ)百景』(小学館)の第三巻が発売されたので、さっそく読んでみた。ただし第二巻が出てから一年以上たって、入り組んだ人物関係がよく分からなくなってしまったので、第一巻からまた読み直し(笑)。しかし結果から言えば、…

人形との心の交流、内田善美の『草迷宮・草空間』を読む

『星の時計のLiddell』(集英社、1985年~86年)に続いて、内田善美のもう一つの代表作『草迷宮・草空間』(集英社、1985年)を読んだ。人間の心をもった市松人形とその人形を拾った大学生・草(そう)の話。「草迷宮(そうめいきゅう)」というタイトルからして、内…

幻の作家・内田善美の『星の時計のLiddell』を読む

何年振りかで内田善美のコミック作品『星の時計のLiddell』(集英社、1985年~86年)を読んだ。 コミック・ファンでも内田善美を知る人は少なくなったのではないかとおもうが、1974年にデビューし、1986年『星の時計のLiddell』第三巻刊行を最後にコミック界か…

傷ついて育った若者たちの心理ドラマ、吉田秋生の『詩歌川百景』

2019年に連載開始された吉田秋生のコミック『詩歌川(うたがわ)百景』第2巻(小学館)を読んだ。物語は前作『海街diary』の裏話で、『海街diary』の主人公・浅野すずの義理の弟・和樹が主人公。ただし人物関係は非常に複雑で、すずと和樹は父と母がそれぞれ子連…