本と植物と日常

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グレンダ・ジャクソンの存在感がすごい『2度目のはなればなれ』

今日は新百合ヶ丘イオンシネマで、公開されたばかりのイギリス映画『2度目のはなればなれ』(オリヴァー・パーカー監督)を鑑賞した。名優マイケル・ケイン(撮影時89歳)とグレンダ・ジャクソン(撮影時86歳)が老夫婦役で主演している作品だ。マイケル・ケインもさることながら、私は昔からグレンダ・ジャクソンのファンだったので、彼女が今どうなっているのだろうというのが、この映画を観たいとおもった最大の理由。

ケインとジャクソンの演技が圧巻の『2度目のはなればなれ』

物語は、イギリスのとある介護老人ホームの光景から始まる。

バーニー(ケイン)は元海軍軍人で、2014年の第二次世界大戦ノルマンジー上陸作戦70周年記念式典に出席を希望しているが、申込が遅れたことと身体が不自由な老妻レニー(ジャクソン)のケアが心配でそれをあきらめかけている。しかしこの機会を逃すと、年齢的にもうフランスには行けないだろうと判断したレニーの勧めもあって、こっそり老人ホームを抜け出し、一人でフランスに旅立つ。ちなみにこの映画の原題『The Great Escaper(偉大な脱出者)』はここからきている。90歳の老人が介添え役なしに一人でフランスに行くというのは、相当な冒険だが、この話は実話に基づいているという。

さてこの後は、フランスでのエピソードとバーニーの帰還で物語が終わるのだが、圧巻なのはケインとジャクソンの演技を超えた存在感だ。ケインの方はフランスに行くのでそれなりに動きがあるのだが、身体が不自由という役どころのジャクソンは、ほとんどが狭い室内だけの演技だ。またケインは最初からこの映画を引退作と決めて撮影に臨んだようだが、ジャクソンは無事撮影を終えたものの、昨年10月のイギリス公開を待たずに、昨年6月に亡くなってしまった。引退作と決めていたわけではないにしても、それなりの覚悟をもって撮影に臨んだのだろう。目立った大きな動きはなくても、一つひとつの動作やセリフに重みを感じさせるところはさすがだとおもった。亡くなったことが惜しまれる。

映画『2度目のはなればなれ』公式サイト