本と植物と日常

本を読んだり、訳したり、植物に水をやったりの日々…。

読書日記(イギリス文学)

もろい男女関係を描いたマードックの『砂の城』

アイリス・マードックの第三作目の長篇小説『砂の城』(1957年、日本語訳・栗原行雄、集英社文庫、1978年)を読んだ。中年の学校教師、ビル・モアが主人公で、彼の家族、教師仲間、前校長の肖像画を依頼された女性画家が主な登場人物。実験小説風な第一作『網…

マードックの第二作『魅惑者から逃れて』を読む

マードックの第二作目の長篇小説『魅惑者から逃れて』(1956年、日本語訳・井上雄四郎、集英社文庫、1979年)を読んだ。 複雑な人物たちが複雑に絡み合う『魅惑者から逃れて』 マードックの小説を読むのはこれが3作目なので、なんとなく彼女の小説の書き方がわ…

ネット社会を暗示するマードックの『網のなか』

『鐘』に続いてアイリス・マードックの小説『網のなか(Under the Net)』(1954年、日本語訳・鈴木寧、白水社、1965年)を読んだ。 『不思議の国のアリス』を連想させる『網のなか』 『網のなか』は彼女の第一作目の小説だが、書き方、雰囲気は『鐘』とはまった…

マードックの『鐘』に感銘を受ける

マードックの小説『鐘』(1958年、日本語訳・丸谷才一、集英社文庫、1977年)を読んだ。 著者のアイリス・マードック(1919年~99年)は、20世紀を代表するイギリスの女性小説家、哲学者。先日読んだ『実存主義者のカフェにて』(サラ・ベイクウェル、2016年、日…

アーチャー『レンブラントをとり返せ』を読む

ジェフリー・アーチャー(1940年生)の小説『レンブラントをとり返せ ロンドン警視庁美術骨董捜査班』(2020年、戸田裕之訳、新潮文庫)を読み終えた。大作「クリフトン年代記」を書き上げたアーチャーが、次のシリーズ物として執筆した<ロンドン警視庁>物の第一…

<人間>不在?の『ロスノフスキ家の娘』

ジェフリー・アーチャー(1940年生)の4作目の小説『ロスノフスキ家の娘』(1982年、永井淳訳、新潮文庫)を読み終えた。 この作品の主人公は前作『ケインとアベル』の主人公アベル・ロスノフスキの一人娘フロレンティナ・ロスノフスキ。彼女の生い立ち、結婚及…

構成は工夫しているが大味な『ケインとアベル』

ジェフリー・アーチャー(1940年生)の3作目の長編小説『ケインとアベル』(1981年、永井淳訳、新潮文庫)を読んだ。1906年4月の同日に生まれたという設定のヴワデク・コスキェヴィチとウィリアム・ケインの二人の男の人生が交錯する様を描いた長編で、作品タイ…

読みながら電車を乗り過ごすほどおもしろい『大統領に知らせますか?』

『百万ドルをとり返せ!』に続いて、ジェフリー・アーチャー(1940年生)の2作目の小説『大統領に知らせますか?』(永井淳訳、新潮文庫)を読んだ。この作品には、オリジナル版(1977年)と新版(1987年)があり、私が読んだのは新版の方。巻末につけられた訳者付記に…

大どんでん返しにびっくりした『百万ドルをとり返せ!』

自分が参加している学会大会が終わったので、気分転換にジェフリー・アーチャー(1940年生)の小説『百万ドルをとり返せ!』(1976年、永井淳訳、新潮文庫)を読んだ。 人気作品なのでお読みになった方も多いとおもうが、アーチャーは元々イギリスの政治家で、幽…