本と植物と日常

本を読んだり、訳したり、植物に水をやったりの日々…。

レース系のハオルチアを植え付け

私は南アフリカの少雨地帯に自生している多肉植物ハオルチア(ハオルシア)を数種類育てているのだが、昨日、新顔2株が仲間入り。

わが家では新顔のレース系ハオルチア

昨日やってきたのは、葉の縁にとげのような細かい鋸歯がはえているレース系グループの2株で、これまでレース系は育てていなかった。画像は、右がバッテニアエ(batteniae)で株の直径約3cm、左がボルシー(bolusii)で株の直径約4cm 。外見は、バッテニアエの株は平べったく葉のまわりの鋸歯はまばら。バルシーの株は盛り上がった感じで繊毛のように細く細かい鋸歯が株全体を覆っている。

どちらの株も裸の抜き苗の状態で到着したのですぐに植え付けた。植え付けに関しては、バッテニアエは、株そのものはボルシーより一回り小さいのだが、根が長かったので、ボルシーより一回り大きな鉢に植えた。どちらも株のサイズの割りには根が太くて長い。ハオルチアの栽培には、地上部の見かけにとらわれず、深めの鉢を選ぶのが良さそうだ。このように根が太くて長いのは、ハオルチアが降雨の少ない乾燥地帯に自生していることと関係しているのだろう。また今回はじめて、培養土としてヤシ殻(ベラボン)を使ってみた。2月はハオルチアの休眠期で、ほんらいの植え付け・植え替え時期ではないので、定植がうまくいくかはやや不安。暖かくなるまで乾燥気味に育てて、生育を慎重に見守りたい。

現在栽培中のさまざまなハオルチア

さてハオルチア属は、葉が柔らかく一部が半透明で窓のようになっている軟葉系と葉が固い硬葉系に二分され、それぞれがまた細かく分類されるのだが、細かい分類方法にはいろいろな説があって不明の部分が多い。また市場に出回っているハオルチアのなかには、幾つかの原種を掛け合わせて作出された園芸品種も多く、それが分類をさらに複雑にしている。私が育てているハオルチアも、数種類は分類(品種)不明。

ハオルチア属の上位の分類もたびたび変更され、混乱している。まず、ハオルチア属は現在Asphodelaceaeという科に分類されている。このAsphodelaceaeは、ススキノキ亜科、ワスレグサ亜科、ツルボラン亜科の三亜科に分かれ、ハオルチア属はアロエ属、ガステリア属、クニフォフィア(シャグマユリ)属などとともにツルボラン亜科に分類される。さてこのグループの科名はツルボラン属(Asphodelus)によるのだが、ツルボラン属がオーストラリアやオセアニアに自生する植物で日本ではあまり知られていないため、科の和名としては<ワスレグサ科>が使われることもある。それをさらに複雑にしているのは、AsphodelaceaeはかつてXanthorrhoeaceaeと呼ばれていたため、その名残で旧科名<ススキノキ科>と呼ばれることもある。要するにAsphodelaceaeを構成する三亜科の代表植物の名がともにこの科の和名として使われているのだ。混乱を防ぐため、小ブログではとりあえず、Asphodelaceaeを<ツルボラン科>と呼ぶことにしたい。

ツルボラン科の分類に関しては、↓の外部サイト(三河の植物観察)に詳しい説明がある。

https://mikawanoyasou.org/kamei/turuboran-ka.htm

話をもとにもどして、以下で、寓居で栽培しているハオルチアのなかから幾つかの品種を紹介したい。

オブツーサ・トルンカータのブラック・タイプ

まずこちらは、軟葉系のオブツーサ・トルンカータ。2株の寄せ植え。小ぶりの葉全体が半透明。

太い柱のような葉の先端が透明な窓になっている<万象>

こちらは軟葉系の万象。柱のように太い葉の先端が透明な窓になっている。

扇のように葉が横一列に並ぶ<玉扇>

こちらは軟葉系の玉扇。扁平な葉が横並びに生えてくるので、横から見ると「扇」のような形をしているのが和名の由来。万象と近縁で、万象と同じように葉の先端が窓になっている。

開花中の<玉扇>

ちなみにこの玉扇は万象と並べて育てているのだが、こちらだけ細い花茎が伸び、白い小さな花が咲き出した。

地味な玉扇の花

花はかなり地味。

葉に白い筋が入った軟葉系のハオルチア

こちらも軟葉系だが、正確な品種名は不明。購入時は葉がもっと短かくてずんぐりしていたのだが、他と同じように育てているのに、あっという間に徒長して葉が長くなってしまった。

<十二の巻>

こちらは硬葉系の十二の巻。葉の外側に白い斑が入るのが特徴。寓居の鉢は4株の寄せ植え。枯れかかった葉もあり、暖かくなったら植え替えした方がよさそうだ。

他のハオルチアは正確な品種名不明。レース系が増えて全部で9鉢になったので、切りよくあと1鉢増やしてみたい。