本と植物と日常

本を読んだり、訳したり、植物に水をやったりの日々…。

読みながら電車を乗り過ごすほどおもしろい『大統領に知らせますか?』

『百万ドルをとり返せ!』に続いて、ジェフリー・アーチャー(1940年生)の2作目の小説『大統領に知らせますか?』(永井淳訳、新潮文庫)を読んだ。この作品には、オリジナル版(1977年)と新版(1987年)があり、私が読んだのは新版の方。巻末につけられた訳者付記によれば、オリジナル版と新版で作品の性格に本質的な変化はなく、大統領がエドワード・ケネディからフロレンティナ・ケインという架空の人物に変わっているのが最大の変化という。ただし新版では時代がオリジナル版よりも未来に移行した結果、「その時代を取りまく国際情勢や社会状況が微妙に変化してゆくところが、新版ではきめこまかに書きかえられている」(373頁)とのこと。

おもしろくて、読みながら二度も電車を乗り過ごしてしまった!

物語は、アメリカ大統領暗殺未遂事件の話。大統領を暗殺しようとするグループとふとしたきっかけでその計画を知ったFBI捜査官およびFBI長官の動きを描いたサスペンス小説だ。

ストーリーを書くと興ざめだと思うので何も書かかないが、あまりにも面白くて、読みながら私は二度も電車を乗り過ごしてしまった(笑)。テンポが速くて、話の最初からどんどん暗殺事件の中に引き込まれてしまうのだ。

ということで、前作『百万ドルをとり返せ!』以上に、物語づくりのうまさを感じさせる作品だった。