DVDで大映映画『偽れる盛装』(吉村公三郎監督、1951年)を鑑賞した。数年前に亡くなった知人が「好きな映画だ」とよく言っていたので、どんな映画か観てみたかったのだ。

舞台は京都の祇園。君蝶(京マチ子)は、置屋「島乃家」の看板芸者だ。しかし島乃家は大きな借金を抱えて家そのものを失う危機にさらされており、腕一本でそれをなんとかしなくてはならない。また京蝶には京都市観光課で事務員をしている妹・妙子(藤田泰子)がいるが、彼女は島乃家のライバル店・菊亭の跡取り息子・孝次(小林桂樹)と恋仲だ。物語は、借金返済のため京蝶が色仕掛でかせぐ話に島乃家と菊亭のさや当てがからんでいく。
映画は早いテンポで進められ、テーマが金と色だけに、全体はとても明るいトーンになっている。それにダンスホールや流しの歌が挿入され、サービスで女湯の入浴シーンまである。いわゆる芸術的な映画というより、京マチ子の魅力を最大限に引き出すことを狙った娯楽映画で、京マチ子自身、力演でそれにこたえている。それらが総合的に評価されたためか、この作品は1951年のキネマ旬報ベストテンで邦画の第三位に選ばれている。
個人的な感想としては、よくできた佳作といった感じで、ベストテンに選ばれるような作品ではないとおもう。
音楽は伊福部昭だが、可もなく不可もない感じだった。
細かなところまでは分からないが、現在地下鉄になっている京阪電車が地上を走るなど撮影当時の京都の町の雰囲気がそのままカメラに写し取られているのは、現代からみたこの映画の予期せぬおもしろさといえるだろう。
ただし音声の保存状態がとても悪く、全体の流れは雰囲気で分かるものの、セリフがかなり聞き取りにくかった。