本と植物と日常

本を読んだり、訳したり、植物に水をやったりの日々…。

庭で3種類の天南星が開花

暖かくなって、裏庭でいろいろな植物の芽が伸びてきたが、そのなかにまじって、地植えしているサトイモ科の天南星(Arisaema)属の植物が3種開花した。

暖かさにひかれて、裏庭で天南星が咲き出した

天南星(テンナンショウ)は、雌雄異株の植物で、若い頃は雄株で、成長すると性転換して雌株となることで有名。昆虫によって受粉する虫媒花だが、花のように見える苞(天南星属の苞は、形が仏像の光背に似ているので、特に仏炎苞と呼ばれる)の上部は、匂いにひかれてやってきた昆虫を閉じ込めるような形状になっており、雄花には苞の基部に小さな出口がある。ようやくここから苞の外に抜け出した昆虫が次に雌花にひかれて中に飛び込むと、苞の内部に閉じ込められ、そこで雌花に受粉させるという仕組みだ。

種子が発芽して雄花を咲かせるまで数年かかり、雄花が受粉機能をもった雌花になるまでまた数年かかる。このため世代交代が遅く、絶滅危惧種に指定されている種も多い。自生地域は、アジア大陸と北アメリカの一部が中心。日本は、風土に応じて少しずつ異なった天南星属の植物が数多く自生している。

すらっと伸びて咲く室生天南星

さて草丈が約80cmと高くて目立つのは室生天南星(Arisaema yamatense)。近畿地方と中国・中部地方に自生している。学名の<yamatense>は、大和国(奈良県)にちなむ。

室生天南星の苞

こちらは苞の近接画像で、苞につつまれて中央に顔を出している細長いものが花序付属体。いわゆる「花」は、付属体の下方にあり、外側からはまったく見えない。

独特の形をした苞をつける武蔵鐙

こちらは群生している武蔵鐙(Arisaema ringens)。和名は、苞が武蔵国の名産である馬具の鐙(アブミ)のような形をしていることに由来する。近畿地方以西の西日本、四国、九州から東南アジアにかけて広く分布しているが、武蔵国(埼玉、東京)は自生地からはずれている(笑)。室生天南星と異なり、3枚に分かれた葉が地面から直接伸び、また苞は葉よりも下につく。 

ひっくり返すと武蔵鐙の苞は馬具の鐙のように見える

鐙のような形の苞の先が内側に向けて湾曲しているため、外側からは付属体が見えない。

小型の姫浦島草

この小さい株は姫浦島草(Arisaema kiushianum)。浦島草(Arisaema thunbergii)と姫浦島草の付属体の先端は、苞の外に細長く伸びるのが特徴。九州の山地と山口県に自生しており、学名の<kiushuianum>は、<九州の>という意味。

いずれも日本やアジアに特有の植物たちなので、生育を大切に見守りたい。