クラシック音楽の録音評を中心にした月刊誌『レコード芸術』(音楽之友社)が6月に休刊(実質廃刊)した。私は最近ようやくその最終号を入手したが、以前と比べて、かなり薄くなっている。
同誌は1951年創刊で71年の歴史があるが、1951年というと、第二次世界大戦後中止されていたドイツのバイロイト音楽祭が再開された年で、フルトヴェングラーの有名な第九もこの年に演奏・録音されている。創刊当時は、そのフルトヴェングラーに限らず大演奏家たちが健在で、<名演>の基準が比較的はっきりしており、その紹介を大勢の人たちが待望していたということなのだろう。また来日する演奏家の数自体少なく、大演奏家の演奏はレコードをとおして聴くしかなかったという事情が、録音評を支えていたのではないかとおもう。
しかし巨匠たちの時代が終わり、最近は、<名演>の基準というか、クラシック音楽ファンの音楽の聴き方がかなり変化している。また録音された演奏を聴くということに関しても、CDが安価になって気になる曲の演奏は自分で数種類買って聴き比べることができるようになり、録音評のあり方も変わらざるを得なくなってきている。
実際の話、私自身も最近は同誌を購入していなかった。
残念なことだが、廃刊はやむをえない気がする。