6月最後の土日は、KO大学を会場に私が参加している学会の全国大会があり、私も出席した。初日は10時に開会式があり、その後すぐに自由論題報告が始まるのだが、私は、寓居での朝食準備や後かたずけがあったので、お昼頃に家を出て午後から大会に参加。この日私は東門からKO大学のキャンパスに入ったが、三田キャンパスは独特の重厚な雰囲気があり、いつ行っても落ち着く。

この日私が最初に聴講したのは、Tさん(富山国際大学)の発表。この発表は、本能と理性の境目を18世紀の思想家たちはどのようにとらえたかというもので、私が去年出版した『精神について』にも関連しており、おもしろく聴いた。
それが終わると、Oさん(東大名誉教授)の特別講演。Oさんはドイツ思想・美学が専門で、私の専門とは分野が違うので、学際的な学会でなければ講演を聴く機会がほとんどない。講演は、18世紀にドイツで「美学(エステテイック)」という言葉(概念)が生まれ、それがその後どのように変化したかを分かりやすくまとめたもので、ふだんあまり考えたことのない題材だったが、刺激的だった。

特別講演の後は、会場を変えてレクチャーコンサート。このコンサートは、いろいろな発表を聴いたあと、古い時代を身体をとおして体感するというのが目的で、毎回、趣向を変えながら開催されている。今回のコンサートのテーマは「バロック後期の器楽作品に見られる混合趣味」ということで、当時の楽器を再現した楽器を使い、テレマン、ヴィヴァルディ、バッハなどの楽曲が演奏された。右から3番目の男性が演奏しているのはテオルボという楽器で、私も初めて見た。

コンサートの後は、会場を大学構内のカフェテリアに移してなごやかに懇親会。懇親会では、久しぶりに会う親しい研究者に挨拶し、訳したばかりの『法律制定について』のコピーを手わたすことができたので、大会参加の大きな目的を達成することができた。

懇親会の後、自宅に戻ると次の日のスケジュールがきつくなるので、今回はホルモントレ赤坂に投宿。私はモントレ・グループのホテルが気に入っているし、三田の近くにはよいホテルがなかったのでこのホテルを選んだのだが、モントレ・グループらしい落ち着いた雰囲気でくつろげた。

くつろぎついでに新宿に足を伸ばし、行きつけのワインバー「マルゴ」でジュヴレ・シャンベルタンを飲んだ(笑)。

土曜の夜をのんびり過ごして、2日目は11時から大会に参加。この日私が聴いた発表はIさん(筑波大学)のルソーにかかわるもの。発表を聴いたあとぼんやりしていたら、発表者のIさんに、『精神について』の翻訳のことで声をかけられた。Iさんとはこれまで面識がなかったので、そういう人のところまで翻訳のことが伝わっているということで、驚くと同時にとても嬉しくおもった。
その後は総会に顔を出し、午後の共通論題シンポジウムを聴いて帰った。学会の大会は、東京の大学と地方の大学で交互に開かれるのが恒例で、来年の大会は、西宮の大学で開催される。