今年の正月は天気が良いので、室内に取り込んでいる南アフリカ原産の球根植物たちがすくすく成長している。まずは比較的珍しいフェラーリア(Ferraria)のご紹介。
フェラーリア属はモラエア属と近縁で、ともにアヤメ科のなかのアヤメ亜科(Iridoideae)に分類される。他にアヤメ科の大きな亜科としてはクロッカス亜科(Crocoideae、クロッカス属、フリージア属、グラジオラス属等が属する)があり、進化の流れを想像すると、原始的なアヤメ科植物が、アヤメ亜科とクロッカス亜科に分かれ、それぞれがさらに細かく分かれていったのだろう。アヤメ亜科に関しては、最初の分化の時期はおそらくアフリカ大陸と南米大陸が分裂した頃とおもわれ、南米には、アヤメ亜科のなかでも独特のティグリジア連に属する植物が多く分布している。その後、残ったアヤメ亜科の植物がまた分化し、アヤメ属の原型とフェラーリア=モラエア属の原型が登場し、おそらくアフリカ大陸でフェラーリア=モラエア属がフェラーリア属とモラエア属に分裂していったのだろうと私は推測している。フェラーリア属の花は花弁が6枚均一に開く星型だが、モラエア属にはアヤメ属と似かよった形の花を咲かせる種が多い。
フェラーリアに話を戻せば、フェラーリア属はアンゴラから南アフリカにかけてのおもにアフリカ大陸南西部に約18種類分布している。この地域は夏乾燥して雨が少ないので、大半は秋から冬に成長し、春に開花する。
私が栽培しているのはこのうち4種で、そのうち、フェラーリア・フェラリオーラ(Farraria ferrariola)の蕾が膨らんできた。
フェラーリアのなかでも比較的よく栽培されているフェラーリア・クリスパ(Ferraria cripsa)は、現在成長期。こちらはいつもGW頃に茶褐色の花を咲かせる。
私は他に2種のフェラーリアを栽培しているが、こちらは種から育てているので、葉も細くまだまだ成長途中。開花まで、うまくいってもあと2~3年はかかりそうだ。写真は、左からF. densepunctulata、F. ferrariola、F. uncinata。
フェラーリアの栽培は手探りの点が多いのだが、夏に休眠して秋に発芽するといっても、球根が芽を出す時期が他の南アフリカの球根植物よりもかなり早く、秋にかなり成長するので、室内などの比較的温かい場所で冬越しさせた方が良いということのようだ。
属名はイタリアの植物研究者ジョヴァンニ・バッティスタ・フェラーリ(1584年~1655年)にちなむ。