『精神について』の巻頭に入れる<訳者からのメッセージ>、水曜日にようやく書き終えて出版社に送った。ほんとうは先週末に書き終えたかったのだが、けっこう難産で、時間がかかった。材料不足とか原因はいろいろあるが、出版社から送られてきたサンプルが<である調>で、それだと気分がなかなか乗らなかったのだ。そこで文体を<です・ます調>に変えたら、比較的スムーズに書くことができ、3,400字ほどの小エッセーになった。
書き出しは、『<精神>という言葉から現代の読者は何を想像するでしょうか。そしてまた18世紀の読者は何を想像したのでしょうか』という感じだ。
続いて、『精神について』の題字の下にエピグラフとして引用されている古代ローマの哲学者ルクレティウスの言葉「精神の本性は何からできているか、知らねばならない云々」を入れておいたところ、出版社からすぐに、「その言葉はゲラに見当たらない。どこからとったのか」という質問がきた。要は、共訳者が翻訳原稿のなかにそれを入れていなかったのだ。今度は共訳者の意向を確認し、エピグラフを挿入することで一件落着。
ともかくメッセージの原稿を入れたので、2月早々には二次校正用のゲラが送られてきそうだ。
ということで、昨日は空いた時間に読み直そうと、メッセージの原稿をもってコンサートへ。
その会場で友人に、友人の友人であるR教大学名誉教授のKさんを紹介されたのだが、話してみると、Kさんの研究領域は18世紀フランスの経済思想ということで、私が関心をもっている分野ときわめて近い。さらに話してみたら共通の知り合いがいたりして、話がけっこう盛り上がった。
分かれるときに、挨拶代わりにと、たまたまもっていた<訳者からのメッセージ>の原稿をお渡ししたところ、家に帰ったら、「お礼に」と、彼の論文が送られていた。
これから何かと情報交換できそうで、良い方と知り合った。