屋内で、南アフリカに自生しているキジカクシ科植物ラケナリア(Lachenalia)のうち2種類の花穂が、目立って伸びてきた。ラケナリア・ムタビリス(Lachenalia mutabilis)とラケナリア・ヴァンジリアエ(Lachenalia vanzyliae)だ。
ラケナリアはキジカクシ科なので、地中海沿岸に自生する同科のヒアシンスやムスカリと同様、葉の間から花穂を出し、その花穂に無数の蕾がついて次々に開花する。ヴァンジリアエの花穂は薄い緑色だが(ヴゥンジリアエは花も薄い緑色)、ムタビリスの花穂は褐色で、小さな蕾が固まってついているところは、まるでツクシのようだ。
葉は両種でだいぶ違う。どちらの葉もやや幅広いが、ムタビリスの葉は<槍の穂先のよう>と形容されることもあり、先端まで約20cmで細長く、縁が少し波打っている。これに対して、ヴァンジリアエの葉の方は、先端まで約12cmでずんぐり、すべすべ。またどちらの葉も肉厚だが、ムタビリスの葉の方が薄い。色でいうと、ヴァンジリアエの葉の表面には斑点がある。
葉の基部は、ムタビリスの場合、1枚の葉の基部が丸まっておりその間から花穂が伸びている。ヴァンジリアエの葉は球根1球から2枚出て、葉と葉の間から花穂が伸びている。
こうした微妙な違いの観察が、同属の植物をいろいろ育てる楽しみの一つだ。
自生地は、ムタビリスが南アフリカ西部からナミビアにかけての広い地域、ヴァンジリアエはケープタウン北部の比較的狭い地域。
種小名だが、「mutabilis」は変化に富むという意味で、この種のさまざまな花色にちなむ。「vanzyliae」はこの種の採集者van Zyl夫人にちなむ。