本と植物と日常

本を読んだり、訳したり、植物に水をやったりの日々…。

読書日記(一般・その他)

日本精神史上の貴重な記録『仙台藩士幕末世界一周』

仙台藩士・玉虫左太夫の記録『航米日録』を、子孫の山本三郎氏が現代語訳し、解説を加えた『仙台藩士幕末世界一周』(荒蝦夷、2010年)を読んだ。万延元年(1860年)に日米修好通商条約批准書交換のため渡米した新見正興らの使節団に随行し、一月から九月まで約1…

記述の古さを感じさせない新書版『戊辰戦争』

佐々木克『戊辰戦争 敗者の明治維新』(中公新書、1977年)を読んだ。今年私が読んだ戊辰戦争関係の本のなかでは一番古く、その後のさまざまな本の記述の原点の一つになっていると考えられる本だ。執筆年代が古く、しかも新書なので盛り込める内容が量的に限定…

『蓋棺 庄内藩は一度も官軍に負けなかった』を読む

『秋田・庄内 戊辰戦争』(郡 義武)に続いて、庄内史シリーズの一環として『蓋棺 庄内藩は一度も官軍に負けなかった』(茶屋二郎、ボイジャー、2014年)を読んだ。戊辰戦争の際に庄内藩の重役として軍事掛を務め、戦後の明治初期には庄内地方復興と対外的な折衝…

『秋田・庄内 戊辰戦争』を読む

『秋田・庄内 戊辰戦争』(郡 義武、新人物往来社、2001年)を読み終えた。東北地方と越後の諸藩が奥羽越列藩同盟を結成して官軍と戦った戊辰戦争(1868年<慶応四年/明治元年>)の際の庄内藩の戦闘をたどった実録作品だ。 戊辰戦争で、庄内軍は北斗七星の旗のも…

『奥羽越列藩同盟』(中公新書)を読む

最近、幕末の変革に関する史書をいろいろ読んでいるが、その一環で『奥羽越列藩同盟 東日本政府樹立の夢』(星亮一、1995年、中公新書)を読んでみた。実は私も東北人のはしくれなので(山形県鶴岡市<庄内地方>出身)、戊辰戦争の際に結成された奥羽越列藩同盟の…

『開国への道』を読む

『開国と幕末の動乱』(「日本の時代史」20、井上勲編、2004年、吉川弘文館)と『開国と幕末変革』(「日本の歴史」18、井上勝生、2002年、講談社)の幕末の歴史についてのアプローチがあまりにも違うので、バランスをとるために、もう1冊『開国への道』(「日本…

『開国と幕末の動乱』を読む

『開国と幕末の動乱』(「日本の時代史」20、井上勲編、2004年、吉川弘文館)に不満が多かったので、他の歴史家は同じ時代をどのように論じているのかと『開国と幕末変革』(「日本の歴史」18、井上勝生、2002年、講談社)を読んでみた。対象としている時代は19…

日本の時代史~『開国と幕末の動乱』を読む

自分の翻訳の見直しがとりあえず一段落したので、日本史関係の読書を再開した。まずは、「日本の時代史」シリーズから『開国と幕末の動乱』(「日本の時代史」20、井上勲編、2004年、吉川弘文館)を読んだ。この巻は、ペリー来航(1853年<嘉永6年>)から明治維新…

日本の時代史~『近代の胎動』を読む

『享保改革と社会変容』(大石学編)に続いて、『近代の胎動』』(「日本の時代史」17、藤田覚編、2003年、吉川弘文館)を読んだ。この巻は、松平定信の寛政改革、水野忠邦の天保改革を中心に、18世紀末からペリー来航直前までの江戸時代後期のさまざまな社会的…

日本の時代史~『享保改革と社会変容』を読む

最近、江戸時代の歴史に関する本をいろいろ読んでいる。 というのは、一昨年の8月から3度引越しをしたために寓居の荷物、なかでもすぐに読まない本は段ボール箱に詰められたままになっていて、どこに何があるのか自分でもわけがわからなくなっていたのだが(…