本と植物と日常

本を読んだり、訳したり、植物に水をやったりの日々…。

翻訳の二次校正終了にメド

今日も朝から『精神について』の二次校正。

二次校正用のゲラが届いたのが2月11日。前にも書いたように、出版社からは、「5月に刊行したいので、1カ月ほどで二次校正を終えて欲しい」と言われている。しかし『精神について』のゲラは約750頁あり、それを細かく点検していくのは、やはりかなり時間がかかる。

今日は校正がかなり進んだ

今日校正した箇所のなかでは、たとえば<bons mots>にどんな訳語をあてたらいいのかちょっと悩んだ。どんな文脈でこの言葉が出てくるかというと、「悪意に対して惜しげもなく向けられる礼賛と、悪意がもたらす機知の評判に満足して、彼らは、自分たちの善良さを自分で十分評価することができない。彼らは、自分たちの<bons mots (善良な言葉?)>によって自分が恐ろしい者になることを望んでいる」という文脈で、ここでの<善良な言葉>は、実際には<善良じゃない言葉>のことだ。この箇所は、これまで何度も読んではいるのだが、前後の別のところが気になって、<善良な言葉>でいいだろうぐらいに考えて、読み過ごしていたのだ。

自分を恐ろしい者にする<bons mots>って、どんな言葉?

ともかくまずは現在の進行状況を出版社の担当者にメールし、遅れていることへの了解の返信をもらった。

その返信を励みにせっせと校正したら、今日はかなり作業が進んだ。現時点で残っているのは、第四部第12章以降の本文約70頁、解説、目次、読者へのメッセージ。このうち「解説」は、共訳者が書いたので私が校正すべき性質のものとは思えないのだが、それを入れても約残りは100頁。今度の週末に頑張って校正すれば、二次校正はなんとかそれで終わりそうだ。

ここのところこの校正がかなりのプレッシャーだったし、実際、校正が終わらないと他のことは何もできないので、これでちょっと安心だ。

翻訳の二次校正が遅れ気味

今日は朝から『精神について』の二次校正。私の場合、校正は朝が一番はかどる。とはいえ、金沢訪問などのために作業はだいぶ遅れている。

今日もせっせと翻訳の校正

出版社からは1カ月くらいで二次校正を終えて欲しいと言われているのだが、細かい直しが多くて、まだ全体の7割くらいしか済んでいない。それでも今日はなんとか100頁ほど読めたので、次の休みに今日読んだ分を仕上げて共訳者に送りたい。

この調子でいくと、作業は今月いっぱいかかりそうな感じだ。

駆け足の金沢訪問⑤ーー天気に翻弄されながら、無事に撮影終了

兼六園の向かいにある国立工芸館に着いたのは午後1時。大和百貨店を出たときはまだ曇り空だったのだが、工芸館前に着いてタクシーを降りたとたんに、雨の混じった大粒の霰が降ってきた。

工芸館に着いたら、突然霰が降ってきた

濡れては大変とあわてて工芸館に飛び込んで、一息。簡単な打ち合わせの後さっそく作品解説映像の撮影に取り掛かった。スタッフの準備が良く、撮影そのものはあっけないほど順調に終わった。

撮影はとても順調だった

皮肉なもので、撮影が始まると空はまた晴れてきた。しかし、撮影が終わって帰ろうとしたら、今度は土砂降りの雨。金沢は天気が変わりやすいと聞いていたが、この日の午後の変わり方にはほんとうにびっくりした。まあ、今回の金沢訪問の目的である撮影そのものがうまくいったので、良しとするしかない。

国立工芸館は、明治時代に建てられた陸軍の瀟洒な建物を移築して活用しているのだが↓、今回は天候が悪く、行きも帰りもきちんとした建物の外観写真を撮れなかったのが心残りだ。

https://www.momat.go.jp/craft-museum/architecture

さて、雨のせいでもうどこにも行けないので、タクシーであわてて金沢駅に移動したのだが、駅に着いたとたんに雨があがった。すごい天気の変わり方だ。とはいえ、ここまで来たらもう帰るのみと、ただちに新幹線に乗り込んで東京に戻った。

駆け足の金沢訪問④ーーせせらぎ通りを散策し、大和で昼食

金沢城公園を一回りした後、方向転換して香林坊の大通りを横切ると、犀川の水を引いた鞍月用水にそった<せせらぎ通り>に出た。

犀川の水を引いた用水路に沿った<せせらぎ通り>

鞍月用水の対岸にはかわいらしい小さな店がたくさんあり、通りと店のあいだにたくさんの小さな橋が架かっていて独特の風情がある。

用水には小さな橋がたくさんかかっていて、独特の風情がある

通りにそって少し歩くと、<ひらみぱん>という 、よさげなパン屋が見つかった。
https://hiramipan.co.jp/

しゃれた雰囲気の<ひらみぱん>

おそるおそる天下内に入ってみると…、「う~む、いい感じ。」この店で、朝食用のパンを買って、ホテルに戻った。

店内には、おいしそうなパンがずらり

その後、10時半過ぎにホテルをチェックアウト。お昼ご飯をどこでとるか、候補はいろいろあったのだが、予約が必要だったり休みだったりして、すべて断念。結局ホテルの隣、大和百貨店の食堂街で昼食をとることにした。ここだと、すぐにお土産が買えるし、国立工芸館への移動も簡単という利点もある。

北陸を代表する百貨店<大和>で昼食

選んだレストランは8階の食堂街にある<旬彩グリル 香林>。なんでもありの典型的なデパート食堂だが、金沢城がすぐ眼下に見えて、景色は最高。右側の煉瓦造りの建物は、石川四高記念文化交流館。この画像では見えないが、今回の旅行の目的地、国立工芸館は、右手のさらに奥の方だ。

大和8階のレストラン<香林>は、窓からの景色が絶品

ここでは、金沢にちなんだ<兼六御膳>という定食を注文した。

香林の<兼六御膳>

食事しながらゆっくり休息。このときは、なんとなく青空が見えていたのだが…。

駆け足の金沢訪問③ーー金沢城公園を観てまわる

翌8日は早朝に目が覚めた。この日の金沢は、曇りで肌寒い。

起き出してまず気になったのは『精神について』の校正。しかし環境がかわったせいか、疲労のせいか、あまり集中できなかったので、やむなく、金沢市内を見物することにした。

独特の形をした尾山神社の門

まず向かったのは、前田利家とまつを祀る尾山神社。ホテルの200mほど先を右にまがると、すぐに独特の形をした門が見えてきた。

前田利家とまつを祀った尾山神社の拝殿

こちらは尾山神社の拝殿。境内のあちらこちらに梅が植えてあるが、考えてみたら、前田家の本姓は<菅原>なので、梅とは切っても切れない縁だ。

金沢城の鼠多門

尾山神社の境内を抜けると、すぐに金沢城の鼠多門。この門は最近再建されたばかりという。

玉泉院丸庭園

ここからから城内にはいると、すぐ目の前に玉泉院丸庭園が広がっていた。兼六園が来客用の外向きの庭であるのに対し、こちらは前田家の自分たち用の庭だという。

元旦の大地震で崩れた石垣

庭園の裏から二の丸に向かったが、よく見ると、一月の地震で崩れた石垣も目についた。

本丸跡から見た橋爪門と五十間長屋

金沢城は何度が大火にあっており、天守閣は、江戸時代に焼失したまま再建されていない。ともかく本丸跡の高台まで行くと、二の丸の橋爪門と五十間長屋が見下ろせた。

駆け足の金沢訪問②ーー和食店「伝助」に大満足

金沢に着くと、ホテルでの荷ほどきもほどほどにして、さっそく、ネットで見つけて「金沢で食事をするならこの店っきない」と予約していた和食の店<緑酒 伝助>に向かった。

伝助は、街中の一軒家をつかったいわゆる<隠れ家レストラン>で、若いご主人・濵﨑さんが一人で切り盛りしている。去年まで金沢の別の街にあった店を、西の茶屋街に近い白菊町に移転し、店名もあらためて1月にオープンしたばかり。古い民家を改造した店舗というが、おそるおそる店内に入ってみると、なかはピカピカの清潔な雰囲気。坪庭などもしゃれていて、それだけで濵﨑さんのセンスの良さが伝わってきた。

金沢の隠れ家和食店<緑酒 伝助>

また伝助は、能登など近海でとれる新鮮な魚介類を仕入れ、それをおいしい酒(店名の<緑酒>とはおいしい酒のこと)と一緒に提供するというのが基本コンセプト。調理法に凝るというよりは、素材の良さで勝負しようとしている感じがする。そういう意味では、1月の能登地震で地元の魚が思うように仕入れられないというのは、店にとっても、われわれ客にとってもとても残念なことだ。しかしこの日出された料理からは、そうしたハンデはみじんも感じられなかった。

日本酒の品ぞろえは金沢随一

こちらは揃えている日本酒の一部。日本酒の品ぞろえは金沢でも随一とのこと。「あまりいろいろあり過ぎて、どの酒にするかとても選べない」と言っていたら、濵﨑さんが料理に合う酒を選んでくれた。

棚の上の樽酒<谷泉>は、能登・鶴野酒造の酒。今回の地震で蔵元が壊滅的な被害を受け、今後の仕入れはどうなるか分からないという。ちなみに、この日いただいた日本酒は、順に<日髙見/石巻><鳥海山/由利本荘><谷泉/能登>の3種類。

せっかくなのでこの日の飲み物は日本酒で通したのだが、伝助はワインの品ぞろえも格別で、ワインリストを見ると、赤ならば<ラ・ターシュ>や<エシェゾー>、白は種々の<モンラッシェ>や<コルトン・シャルルマーニュ>という具合で、垂涎のブルゴーニュ・ワインがずらりと並んでいた。

最初の一品はホタテとエンドウ豆の和え物

さて前置きが長くなったが、この日最初の一品は、このホタテとエンドウ豆の和え物。シンプルな料理だが、素材の良さがストレートに伝わってきた。

2皿目はクエのお造り

2皿目はクエのお造りで、九谷焼の変形皿に盛りつけ。九谷焼は、柄がはっきりしすぎていて使い方(盛りつけ方)が難しいのだが、とてもうまく使っている。もちろん、クエも最高!

おいしい料理が次々に出てきた

伝助のメニューは<おまかせコース>のみ。何が出てくるのか予測がつかない楽しさがあって、こちらの食べ具合をみながら、さまざまな料理が、手際よく次々にでてきた。中央の2番目のお造りは、クジラ(左)とサワラ(右)の盛り合わせ。脚韻を踏んでいるのだろうか(笑)。その右の小鉢は自慢のあん肝。奥は、イブリガッコのサラダ。このほかにも、自家製の厚揚げを使った料理、銀杏、ふぐの白子、鰻などをいただいた。

「ご飯が炊けました!」

満腹になったころ合いを見計らって、「ご飯が炊けました!」と濵﨑さんから声がかかる。締めは伝助自慢の<海軍カレー>。

締めにいただいた自慢の<海軍カレー>

訊けば、濵﨑さんは以前海上自衛隊の厨房で勤務していたとのことで、その頃につくっていた料理を再現したのがこのカレー。食感はサラサラしていて、けっこう辛口。自衛官が海の上で食べるカレーなので、胃にもたれないよう配慮してあるのかもしれない。独特の味だが、ベースがどうなっているのかは、ちょっと見当がつかなかった。

ということで、おいしい料理とお酒で、すっかり良い気分になり、店を後にした。

駆け足の金沢訪問①ーー香林坊のホテルに泊まる

金沢市にある国立工芸館で収蔵作品の撮影があり、それに立ち会うために金沢を訪問した。

駆け足で金沢を訪問

せっかくの金沢行なので、ほんとうはのんびりしたかったのだが、『精神について』の翻訳校正がまだ半分も進んでいないので、それが気になり、今回は、7日に着いて8日の撮影終了後すぐに帰京というとんぼ返りのスケジュールとなった。それでも金沢訪問は久しぶりなので、食事や街角散歩など、いろいろ楽しめた。

滞在したホテルは香林坊にあって、動き回るにはなにかと便利

滞在先は、香林坊のKOKO HOTEL Premier。繁華街にあって、エントランスなどは豪華な雰囲気。ただし、最近経営が変わったということで、宿泊料金はとても安かったが、部屋の雰囲気等は今ひとつ。ただし大和百貨店に隣接しているので、買い物などはとても便利だった。

https://koko-hotels.com/kanazawa_korinbo