昨日(21日)は新宿ピカデリーで、フランス映画『ウイ、シェフ!』(ルイ=ジュリアン・プティ監督)を観た。名前のとおり料理を題材としたコメディ映画だが、それに難民問題をからめてある。というか、実際には深刻な難民問題を映画にするということが前提にあって、それをドラマとしてみせるために料理をからめた感じだ。
メインの舞台は家族がいない単身の状態でフランスにやってきた18歳までの難民の少年たちを収容する自立支援施設。そこに、職を失った料理人カティ(オドレイ・ラミー)がシェフとして採用され、秩序もなにもない施設と希望のない少年たちを、料理づくりによって変えていくという話だ。荒唐無稽な娯楽作品かなとおもって観に行ったのだが、移民問題という芯がしっかりしていて感動した。
施設に収容されている少年たちを演じたのはオーディションで選ばれた約40人の少年たち。最初はぎこちない動きをしていたのが、映画の進行とともに自由に動き出してメインの出演者たちや少年たち同士の連帯感がうまれ、映画はそれを、うまく写し取っている。
先日観た『パリタクシー』がコメディを社会問題風に仕上げたとすれば、『ウイ、シェフ!』は深刻な社会問題をコメディとして仕上げたという感じ。どらがおもしろいかと問われれば、個人的には『ウイ、シェフ!』に軍配を上げたい。