本と植物と日常

本を読んだり、訳したり、植物に水をやったりの日々…。

独特の形のムサシアブミ(武蔵鐙)が開花

庭に植えたムサシアブミ(武蔵鐙、Arisaema ringens)が咲き始めた。日本と近隣の東アジアに自生しているサトイモ科植物で、日本の自生地は近畿地方以西。テンナンショウ属の植物だが、そのなかでは花のように見える仏炎苞の形が独特で、馬具の鐙をひっくり返したように見えるところから「武蔵鐙」の名がある。ちなみに武蔵国(現在の東京都や埼玉県、神奈川県の一部)が鐙の名産地だったために植物にその名が関してあるが、ムサシアブミ自体は武蔵国には自生していない。ラテン語の種小名「ringens」は、口を大きく開けた、あるいは怒っているという意味。

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馬具の鐙(アブミ)に似た形のムサシアブミ

花が咲いたあとに展開する葉は幅広で2枚あり、それぞれが3枚の小葉に分裂する。寓居の株はまだ子株で小さいが(なのでたぶん雄株で、この株だけでは種ができない)、肥大すると草丈50cm以上になる。また数年後に肥大するとこの株は雌株に性転換するが、その頃には塊根からこの株の小株ができて、その子株は雄株なので、そこではじめて受粉可能となる。