本と植物と日常

本を読んだり、訳したり、植物に水をやったりの日々…。

女優Eさんの夢をみる

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昨晩は、女優Eさんの夢をみた。彼女が何かの芝居に出ていて、そのリハーサルを観に行くというような夢だった。

私がEさんを知ったのはかなり古く、共通の友人をとおして20年以上前に紹介してもらったのだが、別世界の人というイメージが強く、それからずっとあまり距離を縮めないできた。それが変わったのは10年くらい前で、きっかけはよく覚えていない。ただその頃、女優と呼ばれる人たちは何を考え、どういう生活をしているんだろうと急に興味がわき、自分から接近していったことは確かだ。

さて2012年、私は某学会の大会で名古屋大学に行ったのだが、そのことを彼女に話したところ、自分も名古屋大学に行き学会報告を聴講したいと言いだしたので、名古屋大学のキャンパスを案内したのが急に親しくなるきっかけになったかもしれない。また同じころ、彼女が何か日本の小説を読みたいと言っていたので加賀乙彦『帰らざる夏』を紹介したところ、彼女はこの作品がとても気にいり、共通の話題ができて話しやすくなったというようなことがあったかもしれない。

当時、Eさんは世田谷中央図書館近くのマンションに住んでおり、図書館に行くときなど、彼女のマンションに立ち寄っていた。

その直後にEさんは所属事務所を変え、また世田谷区の桜新町の近くに転居して、住まいそのものはすこし遠くなったのだが、彼女が桜新町に転居してから、さらに頻繁に会うようになった。というのも、それまで彼女は自分で車を運転して外出していたのだが、桜新町に転居してから免許を返納し、外出や買い物が不便になったとこぼしていたので、彼女が必要としているものを買って届けることもよくあった。映画、芝居、コンサートにもよく行った。映画などの帰りは、外で食事をすると目立つのでちょっとした食べ物を買って帰り、さしで飲みながら、見たばかりの映画のことやいろいろなことを、二人でよく話した。

2018年はその転機で、春、母の墓所が下田にあり法要をするつもりなのだが、誰も誘いたくないので一緒に行ってくれと頼まれ、二人だけで下田に行った。そのとき「来年もまた二人で来ようね」と約束していたのだが、まさか次の機会が彼女の納骨になるとは思ってもみなかった。

その年はとんでもない猛暑で、京都の祇園祭も中止になったのだが、その暑い京都でドラマを撮影し、戻ってきてから一緒に病院に定期検診に行った。そこで骨にヒビが入っていることが分かり、それが彼女の死の遠因になった。ヒビそのものは動かないように固定していれば大丈夫ということだったので、その後もドラマのなどの仕事をこなしていたのだが、もっとがんばろうとジムに行き運動したのがきっかけで急に体調不良になり、入院してすぐに亡くなってしまった。亡くなる間際、会いたいので私を呼んで欲しいと共通の知人に頼んだということなのだが、ちょうどその時、折悪しくも私は出張で東京にいなかったので、死をみとることはできなかった。帰りの新幹線のなかで彼女が亡くなったという報告を聴き、東京駅からそのまま斎場に直行して、彼女の亡骸と対面した。出張が終わったらまた会おうと約束していたので、あまりにも急激な死に呆然となったことをよく覚えている。

それからもう2年以上たつのだが、文学や芸術・芸能などについて本音で語り合える人が私のまわりにはいないので、こんな時彼女がいたら楽しいのになあといつもおもっていることが夢につながったのかもしれない。