本と植物と日常

本を読んだり、訳したり、植物に水をやったりの日々…。

広島・京都旅行記⑤ーー祇園の割烹料理に大満足

京都の宿泊先は、烏丸六角のホテルモントレ。このホテル、豪華というよりはシックな感じで宿泊料も比較的安いので、私はとても好きなのだが、ここ数年外国からの観光客が増えたせいかまったく予約できず、投宿するのは久しぶり。

https://www.hotelmonterey.co.jp/kyoto/

ホテルで一休みしたあとは、夕食のため、祇園新橋の割烹料理店「中谷」に向かった。

京都で食事をするのも久しぶり。京都の飲食店というと、いわゆる観光地価格で、特別な料理でなくても何か理由をつけて高くしているというイメージがあるのだが、今回は、展覧会のオープニングイベントがぶじ終了してその打ち上げという意味もあるので、ネットで、少し高くてもおいしい料理をきちんと食べさせてくれそうな店を選んで予約した。

中谷は、祇園の新橋通りからちょっと奥に入ったこじんまりした店で、われわれ以外の客はハンブルクからやって来たドイツ人の観光客のみ。これなら落ち着いてゆっくり食事ができそうだとまず安心した。

寡黙に甘鯛をさばく中谷さん

店主の中谷さんは寡黙な人で、カウンター越しにだまって甘鯛をさばきながら、われわれの食事の準備をしている。

口開けの一皿。

こちらは最初の一品。う~む、いける。個々の食材のことも詳しく紹介したいのだが、「おいしかった」というだけで、あとはだいたい忘れてしまった(笑)。ともかく、口開けの一品からしてひきつけられる。お酒は、最初だけ山形のお酒にして、あとはおまかせ。お酒をおまかせにしたのでその分の代金がどうなるかちょっと心配だったのだが、領収書をみたら、良心的な値段だった。

鱧と松茸のお吸い物

お吸い物は、鱧と松茸が入っていて、豪華でありながらあっさりした味付けがとてもおいしい。見た目も綺麗で、練り物は月に見立ててある。

メインの八寸

お造りやちょっとした肉料理に続いていよいよメインの八寸が出てきた。

見た目と味のバランスが絶妙な秋の八寸

この八寸、盛りつけてある一品一品はとても凝っているのだが、秋らしく全体の色調をおさえてあって、見た目と味のバランスが絶妙だ。良質な絵画のように全体のトーンを考えて、それから個々の料理をどうするか、考えているのだろう。料理のバリエーションがかなり広くないと、こういう組み合わせはできない。これには脱帽。

揚げ物は朴葉に盛りつけ

八寸に感心していたら、次の揚げ物は朴葉を使った盛り付けで、またまたサプライズ。味ももちろん最高。

締めは炊き立ての松茸ご飯

締めは松茸ご飯というので、至れり尽くせりの献立にまたびっくり。このご飯はわれわれが着いてから2人分炊き上げた炊き立てというのもうれしい。ただし、「おいしいけど、もう食べきれない」と悲鳴のような感想をもらしたら、残った松茸ご飯は「お持ち帰りください」とおにぎりにしてくれた。

ということで、中谷の料理はとても素晴らしかった。接客が控えめなのも好感がもてた。京都の割烹料理店というとただただ高いという印象があるのだが、この店では、なんというか、本当のプロの技の冴えを感じた。

https://gion-nakatani.kyoto.jp/