昨日(3日)の午後、日比谷のTOHOシネマズシャンテで映画『ミセス・ハリス、パリへ行く』(アンソニー・ファビアン監督)を観た。
時代設定は1957年頃。ロンドンで家政婦をやっているハリス夫人(レスリー・マンヴィル)が、勤め先の女性の衣装棚でクリスチャン・ディオールのドレスに一目ぼれし、自分もディオールのオートクチュールのドレスを入手するために、お金を貯めてパリのディオールの店に行くという一種のファンタジー。
原作は、ポール・ギャリコ。一般的に説明するならば『ポセイドン・アドベンチャー』の原作者ということになるのだろうが、私は、『さすらいのジェニー』や『雪のひとひら』の作者と紹介したい。原題の『Mrs. Harris goes to Paris』は、おそらく韻を踏ませたのではないかとおもう。
さて物語の展開や個性的な登場人物たちもさることながら、この作品の真の主役はディオールのドレスかもしれない。作品のハイライトは、セレブたちを招いたファッション・ショーで、ディオールの当時のスケッチをもとに、華やかなドレスが再現されている。またディオールのアトリエなどは忠実なセットというが、ほんとうのアトリエの中に飛び込んだような気持になる。
出演者では、ディオールのトップモデル、ナターシャ役のアルバ・バチスタがきらきらと輝いていた。
また当時社会的に広い影響力があったサルトルの『存在と無』を使ったセリフのやりとりなど脚本もおもしろかった。
夢のあるエレガントな作品。
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