本と植物と日常

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モラエア・トマシアエが開花

アヤメ科の球根植物モラエア・トマシアエ(Moraea thomasiae)が開花した。花茎の長さは30cmくらい、花の直径は5cmくらい。鮮やかな黄色で良く目立つが、花そのものはとても繊細な感じ。花の形状はアヤメ属によく似ており、アヤメを小型化したような雰囲気。細長い葉は葉脈が柔らかく、寓居で鉢植え栽培している株の場合、直立せずに地面に垂れる。寓居では数種類のモラエアを栽培しているが、トマシアエが一番先に咲いた。耐寒性があり、栽培は比較的容易。

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モラエア属は、フェラーリア属と近縁で、ともにアヤメ科アヤメ連に属する。アヤメ連の植物は、世界中にかなり広く分布しているが、モラエア属の自生地は南アフリカと地中海沿岸に限られており、アヤメ連のなかでは後発で、このため分布が限定されている可能性が高い。またモラエア属は分類がかなり揺れ動いており、かつてはガラクシア、ギナンドリリス、ヘクサグロッティス、ホメリア、モラエアの5属に分類されていたが、1998年にモラエア属に統合された。このため同じモラエア属でも花の形状はかなり異なる。

トマシアエの自生地は、南アフリカケープタウン近郊の内陸部。比較的あたらしく特定された種だ。

なおモラエアという学名は18世紀イギリスの植物学者で、リンネとも交流があったロバート・モア(Robert More)にちなむ。またトマシアエという種小名は南アフリカの植物学者マーガレット・トーマス(Margaret Thomas)にちなむ。