本と植物と日常

本を読んだり、訳したり、植物に水をやったりの日々…。

アマゾンから参考文献が届く

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先日アマゾンに注文したフランスの思想家シモン=ニコラ=アンリ・ランゲ(1736年~94年)の著作『現在の北方問題、とりわけポーランドの問題についての政治的・哲学的考察』(1773年)がさっそく届いたので、その内容をパラパラと眺めている。当時のヨーロッパでは、1772年のポーランド分割が大きな政治的話題になっていたが、その直後に出版され、ポーランドとその周辺地域の政治情勢を分析した内容になっている。

作品の書き出しはこんな感じだ。

「今日、北方で起こっていることは、全ヨーロッパの注目を集めている。現在であれ、未来であれ、ポーランド共和国の運命を決定するはずの出来事に関心を抱かない国民はすこしも存在しない。ドイツはその自由に関して、フランスは現在まで全ヨーロッパの政治問題に対してもっていた影響力のゆえに、スウェーデンデンマークは価値をもたせなくてはならない野望と維持しなくてはならない所有地のために、イングランドとオランダはとりわけ商業的な価値のために。さらに差し迫った関心、つまり人間愛への関心は、政府の幸運な変革がポーランド人が脅かされた一部の領土の喪失を補償することを、感じやすいすべての魂に欲求させる。」

ランゲは18世紀に活躍した毒舌で有名な弁護士、政論家、歴史家、経済学者で、フランス革命中に刑死。現在、『市民法理論』(1767年、大津真作訳、京都大学学術出版会)と『バスチーユ回想』(1783年、安斉和雄訳、現代思潮社)の2冊の邦訳がある。