ヒガンバナ科の植物スカドクサス・ムルティフロルス(Scadoxus multiflorus)が開花した。和名は「線香花火」で、文字通り線香花火が周囲に飛び散っているような咲き方だ。こんもりした「花」の部分で目立っているのは、実は個々の小さな花の雄蕊で、花弁は小さくあまり目立たない。
自生地は南アフリカ東部からエスワティニ(旧名スワジランド)にかけての内陸部。この地域は冬に雨が少なく、夏に雨が降るので、現地でも夏に開花する。ケープバルブと呼ばれる植物の一種だ。
寓居では、6月初めに球根を3球植え、1カ月以上なんの変化も見られなかったのだが、7月中旬に2球開花し、今、遅れていた1球の開花がはじまった。画像の葉は先に咲いた2球のもので、日本のヒガンバナと同じように、花が咲いてから葉が伸び始める。とても華やかで、ヴェランダが一気ににぎやかになった。
彼岸花とはよく言ったもので、何もないところから突然強烈な花が開くのはまるで死者がよみがえったかのような印象がある。先月逝ったY君のことを思い出しながら、鮮やかな花をながめている。